乗初め~のっぞめ
正月2日は乗初め~のっぞめと言って
漁船は葉先の青い葉を1m位残した若竹に
大漁旗を掲げ、船首のマストにくくり着け
ます
乗組員は、親方~船主の家に集まり新年の
挨拶を交わした後、用意された神酒、蜜柑、
袋入りお菓子、お金のおひねりなどを持って
船に向かいます
近所の子供達は大人も含めぞろぞろついて
浜に集まり何十隻もの浜は正月早々のお祭り
です
船頭は、三寄(みよせ)~船首部に神酒を
注ぎ、艫(とも)~船尾にも神酒を注いで
船霊様(ふながみさま)にお参りしてから
持参した、蜜柑や袋入りお菓子、おひねり
を岸壁に集まった人達に向かって投げます
集まった大人も子供達も競って拾い集め
ました
昨年の大漁お礼と新年の大漁祈願を併せた
行事です
戦後の貧しい時代でもこの風習は盛んに
行われていました
暮れの31日にお店にいらした興津生まれ
の私と同年輩のお客様は一仕切り懐かしい
みかん投げの様子を話していかれました
今は無い昭和の貧しくも心豊かな浜の正月
絵巻でした
漁師は暦の日取りを気にします
初出漁の日取りと天候の具合によっては
初出漁が先送りされる場合が少なくあり
ません
これを防ぐため、2日に乗初め儀式を行って
以降天候の都合だけで何時でも出漁出来る
ように考えた生活の知恵です
今は、消費地市場が5日に開市するに合わせ
房州の各浜は4日の初水揚げが多いです
銚子は、5日に漕出式(こいでしき)が
決まっています
船を動かして川口の神社前で旋回してお参
りします
房州の浜の正月の一端をご紹介しました