時化海の合間に秋刀魚が獲れた
水揚げ後出港しその夜操業海区に入る予定
の秋刀魚船は、港の中で集魚灯を拡げてから
出て行きます
船の動揺が無い方が展開作業がしやすい事
と、漁場到着後は船頭と当直員だけで調査
探索を開始し実際の操業開始迄、3分の2
からの乗組員は就寝休憩を継続させ得るから
です
そして操業終わり迄集魚灯は拡げたままが
通常です、まだ操業が見込まれるのに集魚灯
を一旦収納する事は、同僚船への救助協力
等良からぬ事態の発生の場合のみ、操業海区
で時化が予報される場合は事前に避難帰港
する事が鉄則でした
今年は異なります
沖出し時間が2昼夜などと長いし、時化の
多い北洋の漁場に着いてのわずかな凪ぎ間
の操業を目指して時化海を承知での出港の
ため集魚灯は収納したまま出港して行き
想定漁場到着後にスタンバイと称して乗組員
の準備体操も兼ねて集魚灯を拡げていきます
そして操業し漁に恵まれれば時化が来る前に
逃げ帰る事が出来ますが、多くは漁が乏しく
一旦集魚灯を仕舞い荒天準備を徹底し漁場で
時化と対峙する事態が目立ちます
シーアンカーを投入して見張り当直だけを
残し主機関も停止しての荒天対策ならいざ
知らず、
船頭自ら指揮し、船橋も機関部も幹部職員
の当直体制で大時化の行き過ぎる7~10
時間、船を支える、想像を絶する秋刀魚との
闘いです
注、支える
主機関を駆動して、船首を強風の来る方角
7対3~8対2に操舵しながら微速で風、
波浪の衝撃を和らげる操船方法
原因となる低気圧、寒冷前線と自船との位置
関係により波浪、強風を左舷に受けるか
右舷に受けるか決めなければならない
支える中に本船が動く事が低気圧等に近付く
事になってはならないからです
今年の秋刀魚漁はここまでして漁獲につな
げています
26日、27日夜は漁場付近に1000ミリ
バール位の発達前の低気圧が数個存在し
互いに牽制し合い強風には至らなかった
様子が雲画像からも見て取れます
秋刀魚漁船は操業出来ました良い船は数十t
の漁獲です
内地向けの船が何隻か?
日曜日の為集計は午後になります
漁場海域は、低気圧がまとまって東に抜け
大陸から高気圧が張り出し東西1000km
の間に5本もの等圧線がたちました
即ち、20ミリバールからの気圧差が生じま
した
雲画像で見るとオホーツク海からの強い北風
が吹き始めました、25mは吹くでしょう
この海では支えようもありません
今朝は早くに操業を打ち切り避難帰港に
ついていましょう
北洋が日本の独壇場だった時代、鮭鱒漁が、
大型トロールがあった時代ならいざ知らず
秋刀魚漁船がこの様な操業形態をしたのは
今年が初めてです
これから更に危険が増します
くれぐれも事故につながらないようお願い
します