直売所千倉

千葉県木更津市にある、日本一小さな魚屋です。半世紀プラス25歳の青年が一人で切り盛りしています。50年の知恵と25歳の純真さが魚を美味しくお届け致します。 住所は 木更津市長須賀327ー1.電話09044300376 当店でのお取り扱いは、日銀カードのみでございます。還元ポイントは有りませんが、基礎手数料ゼロの日銀カードが 、最もお得です。 当店では、お売りする魚についてお客様にご納得いかれるまでご説明申し上げています。漁獲海域、漁獲方法、水揚げに至る経過、水揚げから店頭までの経

房州千倉のある船頭の思い出

先週からの日本の排他的経済水域内で始まった

新たなさんま漁場でのさんま漁獲状況を見て、

昭和中後期の千倉の鯖さんま漁業の全盛期を

支えた一人の船頭を思い出した

その人は、生家の持船の最後の船頭を務めた

人でした、以前話題にした、昭和48年に

9000万円の建造費で竣工した当時の新鋭

船を駆使して一秋(8月~12月さんま漁1漁

期)で20000万円を稼ぎ出した船頭です

さんま漁での船頭は過酷です、夕方に

スタンバイ(操業準備)して調査を開始すると

船の最も高い指揮所に陣取り、舵取り(操舵員)

、魚探(魚群探知機)ソナー監視員、2~3台の

のライト(3km位見通せる探照灯)操作員

を指揮して魚群発見に努めます

担当員は輪番で交代しますし、その他の

乗組員は暖を取っての待機になっていますが

船頭には交代はありません

夜が明け操業を終わり満船となれば帰途航海

になりワッチ(当番)運航に移ります

通常の船頭は、ここで15時間に及んだ過酷

な環境から解放されますが、話題の船頭の

言葉は「俺が持って行くから起こすまで寝て

いろ」(船頭が自分で舵を取って行くから1番

ワッチは起こすまで寝て待て)と言って、

自ら操舵して帰途航路の潮流、水温、魚探、

ソナーを監視し、魚群、鳥群を観察して次の

操業の準備をしたそうです

水温が高くなりさんまのいない水域に入ると

ワッチに引き継ぎ「水揚げが終わるまで

起こすな」と言って初めて寝入ったそうです

水揚げが終わり出港準備が整って起こされる

と帰途航海で見て来た可能性の有るポイント

を示し、「そこまでワッチで行け、途中

起こすなよ」と言って飯を食って又寝入った

そうです

満船で入港すれば岸壁で自慢したい船頭の

多い中、その時は寝て居て、漁撈で疲れた

若衆(若い衆~わけえしゅ~乗組員)を寝かせ

大事にして、疲れた自らを鞭打って帰途航海

を担当し、合わせて次操業の調査をしていた

魚を獲る事にのみ専念した一人の船頭の姿が

まぶたに浮かびました